スポーツをする人のための食事
東京オリンピックが開幕しました。
コロナウィルスにより無観客試合となってしまった事は、選手からしても残念なことでしょうが、日本代表選手の素晴らしい試合に感動の嵐です。
本日は東京オリンピックにちなんで、スポーツをする人のための食事についてお話をしていきたいと思います
《目次》
1 アスリートと高カロリー食
バドミントン日本代表の桃田選手は、成人男性の倍の食事カロリーである4500キロカロリー以上を1日で摂っていると、専属の管理栄養士さんがインタビューで答えていました。
普通の人なら太ってしまう程のカロリーをとっていても、トレーニング量の多いアスリートにとってはちょうど良いのです。
また部活動をやっているお子さんの場合もカロリーを多めにする必要があります。
「日本人の食事摂取基準2020年版(厚生労働省)」を参考に説明しますと、
例えば、17歳男子は1日に2800キロカロリーを摂取することが必要と掲載されています。
さらに、活動量の多い人は(身体活動レベルⅢ)、3150キロカロリーが必要とされています。
この数字をみても明らかですが、高校生男子の運動部の人が、大盛ごはんにおかわりと、沢山食べても全く太らないことが納得できるのではないでしょうか。
1-1小分けに分けて食事をしよう
一度に沢山食べれない人は、5回や6回に分けて食事をして、カロリーを摂取していきましょう。
スポーツをしている人にとっては、おやつも大事な栄養補給になりますので、質の良いおやつを選びましょう。
決してアイスやケーキ、スナック菓子などではなく、栄養のあるおにぎりや焼き芋、バナナ、具沢山の味噌汁などを食べましょう。
1-2糖質制限は要注意?
アスリートの人は糖質制限はNGです。
もちろん、砂糖たっぷりのスイーツは控えるべきなのですが、炭水化物(糖質+食物繊維)は決して制限してはいけません。
お米やお芋などの炭水化物は一番のエネルギー源になります。
糖質制限により、筋肉に蓄えられるグリコーゲン※の量が減ってしまい、筋肉を瞬発的に動かす力がなくなってしまうのです。
※グリコーゲンとは、筋肉や肝臓にストックされたブドウ糖のかたまりのこと、ちなみに構造はデンプンと似ています。
ご飯を食べていないときは、肝臓や筋肉に蓄えたグリコーゲンを分解して、私たちはブドウ糖を作り出し、血糖値を維持したり、筋肉を動かしたりしています。
さらに、肝臓や筋肉のグリコーゲンが枯渇すると、今度は脂肪や、筋肉を分解してブドウ糖を作り出します。(これを糖新生といいます)
つまり糖質制限をすると、アスリートの命でもある筋肉を分解してしまうのです。
元々アスリートは体脂肪率が一桁の人も多いため(競技にもよりますが)、そもそもが燃やす脂肪がなく、グリコーゲンが枯渇すると、筋肉が壊されてしまうのです。
競技中にバナナを食べたり、BCAAというアミノ酸ドリンクを飲むのは、筋肉を壊さないための工夫です。
スポーツする人はご存知のBCAAですが、実は筋肉に含まれるアミノ酸で、筋肉の修復をします。
1-3 カーボローディングとは
減量の必要となるボクサーは、軽量前に糖質とお水を抜きます。
これによって大幅に体重を減らすことができるのです。
それは筋肉に含まれるグリコーゲンがなくなり、それと同時に水分が減るからです。
グリコーゲンは水分を抱え込む性質があります。
グリコーゲンが減ると、おのずと筋肉に含まれる水分がなくなるので、大幅な体重減少を望めるわけです。
減量が終わるとすぐに、ボクサーは糖質を摂ります。糖質はエネルギーになるので必ず必要な栄養素です。
糖質制限をすると、莫大な力を出すことが不可能になり瞬発力がなくなることや、低血糖に見舞われ持久力だってなくなります。だから減量が終われば必ず糖質を摂っていくのです。
「体を動かすエネルギー源である糖質を摂取して、体内(肝臓や筋肉)にたくさんのデンプン(正確にはグリコーゲン)を貯蓄する」食事法のことをカーボローディングといいます。
カーボローディングはマラソンなどの2時間以上続く競技などでは当たり前に行われている食事法です。
2 タンパク質をしっかり摂ろう
次にタンパク質のお話です。
アスリートは多くのタンパク質を必要とします。
通常は、体重1キログラムあたり50グラムのタンパク質が必要となります。
50㎏の女性であれば、1日50gのタンパク質が必要と言う事ですね。
しかしアスリートとなると、一般人の2倍は必要となります。
だからといって、タンパク質ばかりを食べていると、おならやガスが増え、腸内の悪性菌が増えてしまいます。高タンパク質食と同時に食物繊維もしっかりと摂りましょう。
食物繊維についての記事はこちらです。
また消化力を上げる大根おろしやパセリ、お酢を使った料理を食べると消化が促進され、タンパク質の吸収が上がり大変お勧めです。
3 良い油を摂ろう
次に油の話です。
短距離走などの瞬発系の競技の場合は、とくにオメガ3系の油を増やすことが大切です。
私達の身体は細胞からできています。その細胞の膜を作っているのが、たんぱく質と脂質です。この脂質がどのようなアブラで構成されているかによって、細胞膜の柔軟性が変化していきます。
少し難しくなってしまうので、このあたりの話はまたの機会にしますが。
私達は、細胞間で行われる神経伝達物資(電気信号みたいなもの)の受け渡しによって、体を動かしています。
テニスやバドミントンもそうですが、そのコンマ1秒の動きがとても大事になってくる競技では、細胞の膜が柔軟な人ほど、神経伝達物質のキャッチがスムーズとなり、俊敏な動きが可能となります。
ではどんな油をとれば細胞膜の柔軟性が増すのでしょうか。
それは、オメガ3系脂肪酸の「あまに油」や「えごま油」です。
また青魚に含まれる「EPA・DHA」も同様にオメガ3系脂肪酸です。
逆に細胞の柔軟性を低下させてしまう油は、「マーガリン」や「ショートニング」などのトランス脂肪酸です。
マーガリンは市販のパンに使われていますし、ショートニングは市販のクッキーなどのお菓子に使われています。
バターはどうしても高価ですから、安価なパンやお菓子に使うことは難しく、かわりに「マーガリン」や「ショートニング」が使われるのですね。
ちなみに当店のパンには、「マーガリン」や「ショートニング」を使っていませんからご安心ください。「バター」や、酸化のしにくい「こめ油」をパン生地に使っています。
4 ミネラルを摂ろう
次にミネラルのお話です。
アスリートは多くの汗をかき、ミネラルが抜けてしまいます。
ミネラルの多い天然塩(シーソルトや岩塩)をうまく活用してみてください。
特に持久力系のアスリートは鉄不足に陥りやすいです。
女子マラソン選手の貧血は大変問題となっています。
4-1 女子マラソンと貧血
マラソン競技は溶血性貧血を起こしやすいことに加えて、女子には月経もあるので、貧血には十分気を付ける必要があります。
そしてマラソンなどの持久力競技では、酸素を効率よく運ぶためには鉄が必要なので、貧血になってしまうと、タイムにも影響しますので、特に鉄補給はしておきたいです。
鉄の多いレバーは、週に2回たべれば十分でしょう。
なぜならば、鉄は肝臓にある程度ためておけるからです。
毎日は難しくても週2回でしたら摂れる気がしませんか?
おすすめは鶏レバーです。焼き鳥屋さんでレバー串を頼みましょう。
レバーが苦手は人は、赤身のお肉やほうれん草や卵から意識して鉄分を摂取しましょう。
鉄なべ(スキレット鍋)もうまく活用すると良いです。
5 体を作るにはよく食べ、よく寝ること
スポーツをされている方は、栄養はもちろん大事ですが、睡眠・休養も大切です。
寝ているときに細胞の修復が行われますから。
良く食べ!よく休む!これが基本です。
スポーツをする人の栄養について、お役に立てれば幸いです。
【参考文献】